お子様の成長とともに、住まいの役割や求める機能は自然と変化していきます。
特にリビングは、家族が集い、語らい、日々の時間を共有する大切な空間です。
子育て世代の皆様にとって、リビングは単なる居間ではなく、
安心感と絆を育む場所として重要な意味を持ちます。
今回は、空間デザイン心理学の視点を踏まえた具体的なリノベーションの提案を、ご紹介いたします。
1. 家族の安心感と成長を支えるリビング設計の考え方
キッチンリビングは、美しさだけでなく、家族一人ひとりの心理的ニーズに応えることを重視しています。
たとえば、A邸のリノベーション事例では、
リビングの一角にワークスペースのコーナーを設け、元和室を洋間に取込ました。
子ども成長に合わせてカーテンから壁に変える予定です。
幼いお子様が安心して過ごせるよう、リビング全体が広く見渡せる開放的なレイアウトは、不安感の低減に寄与します。
一方で、お子様が成長するにつれて、個々のプライベートな時間を確保するため、リビングの一角にスタディスペースや落ち着いて過ごせるヌック(コーナー)を設ける工夫も必要です。
2. リノベーション事例で学ぶ実践的アプローチ
具体例としてご紹介するB邸のリノベーション事例では、
リビングの一角に畳敷きのコーナーを設けました。
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利用シーン:
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お子様が遊んだり、昼寝をしたりする安全なスペースとして
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大人にとっては、リラックスして腰を下ろし、穏やかな時間を過ごせる多機能な空間として
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素材の選択:
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畳の自然な素材感が、空間に温かみと落ち着きをプラスし、家族間のコミュニケーションを穏やかに促進する効果を発揮しています。
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3. 家族の交流を促す家具配置とゾーニング
家具の配置は、リビングの雰囲気だけでなく、家族の交流にも大きく影響します。
たとえば、壁側に沿ったソファ配置ではなく、家族がお互いの顔を見やすいよう、リビングの中央にローテーブルを配置し、その周囲にソファやクッションを配置することで、自然と会話が生まれる空間が作れます。さらに、空間内に明確なゾーニングを設け、共用エリアとプライベートエリアのバランスを取ることで、全員が快適に過ごせる工夫が求められます。
しかし、間取りによってはダイニングリビングと一部屋にすることが難しい場合もあります。
そのような場合は、奥まったキッチンを住まいの中心に移動し、
リビングとダイニングとつながりを持たせるレイアウトなど考えてみましょう。
ご紹介するC邸のリノベーション事例では、階段が家の中心にあり動かせず
北側に閉鎖的にあったキッチンをファミリー倉庫家事室に、キッチン南向きに配置
キッチン横にダイニング、正面にリビングと階段。
家族がつながるキッチンレイアウトにしました。
4. 色彩計画と照明で演出する心理的効果
リビング空間における色彩や照明は、家族の心に大きな影響を与えます。
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色彩計画:
暖色系のアクセントは親しみやすさを、アースカラーやペールトーンは落ち着いた雰囲気を醸し出します。過度な暖色は刺激が強すぎる場合があるため、穏やかな色調をベースに、ポイントとして取り入れると効果的です。 -
照明計画:
大きな窓で自然光を取り入れる設計や、シーンに合わせた間接照明・スタンドライトの活用は、時間帯に応じた心地よい明るさの調整を可能にします。たとえば、夜のリラックスタイムには柔らかな暖色の照明が、家族のリラックスを後押しします。
5. 機能性と美しさを両立する収納計画
子育て世代にとって、リビングに散らかりがちな子供のおもちゃや絵本、学用品をスマートに収納することは、空間をすっきり保ち心理的な負担を軽減するうえで重要です。
壁面収納や、ソファ下のデッドスペースを有効活用するアイディアを取り入れることで、美しさと機能性を両立させたリビングを実現できます。
こどもだけでなく、大人の家族がリラックスできる空間にする大切なのです。
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